精神科移送サービスと家庭内暴力

 

皆さん、はじめまして。

 

初回のブログ投稿ということもあり、簡単にごあいさつをさせていただきます。

 

私は精神科移送士、家族臨床家として活動しております田中聖(きよし)と申します。

 

このブログでは、私が代表を務める「Rサポート」の精神科移送サービスについて、その日々の活動や、過去の印象に残った体験談を皆さんにご紹介します。

 

第1回目となる今回は、弊社への問い合わせの中で件数の多い、「家庭内暴力」のケースと、精神科移送サービスの在り方についてご紹介します。

 

 

 今回、とあるご家庭のご了承を得た上で、実例を元に一部内容を修正して紹介しています。※プライバシー保護の観点より。

 

これは、30代の息子さんを持つご家庭のケースです。

 

自宅での息子さんはどんな様子かというと、「母親は自分の欲求を満たす」ことが当たり前だと思い込み、常に横柄(おうへい)な態度をとって、家族を困らせていたそうです。

 

ある時は、買い物リストを母親に渡して自分の欲しいものを買い物に行かせていました。

 

そして、母親がリストの内容と間違うものを買ってきようものなら、「なんでこれくらいのことがわからないんだ!俺の邪魔ばかりして!俺がこんなに苦しんでいるのはお前のせいなんだぞ!」と、突然激しい攻撃性をあらわにし、暴言や暴力を振るうこともあったそうです。 

 

 

しかし、本人は、自分が至って正常だと思っており、病識(自分が病気であるという自覚)など全くないのです。

 

家族が病院の受診を勧めてはいましたが、努力の甲斐もなく受診拒否が続いてしまい、状況に行き詰っていたところでした。

 

警察や社会福祉課の窓口へ行って相談しても、なかなか思うような対応をしてもらえなかったそうです。

 

「どうすればよいか」と手を尽くして調べているうちに「精神科移送サービス」というものがあることを知り、弊社へつながることができたそうです。

 

精神科移送サービスの在り方

 

私事ではありますが、実はつい先日も、家庭内暴力を理由とする問い合わせが弊社にありました。

 

親御さんからの経過報告の連絡でして、「専門施設に受け入れてもらった結果、子どもに変化や進展が見られ、次のステップとして入院(入所)を決断するに至りました」との知らせを頂戴しました。

 

さらに、続けて「わが子の将来に希望を感じられるようになりました」とおっしゃっていただき、私もつい自分の身内の出来事かのように嬉しく思いまいました。

  

 

私たちは、ご家族やお子さんに親身になって話し合いを続けること、そして支援施設へ安全につなげることを目的ですが、それ以上に、お子さんの抱える心の問題の回復が何よりも大切だと信じています。

 

そのため、私たちは施設入所や病院へとつなげた後も、ご家族やお子さんとつながり続け、時には病院へ、時には元居た施設へと顔をだしたり、様子を伺ったりしながら、その後の支援も継続します。

 

「回復まで見届けること」こそが、精神科移送サービスの在り方であると信じ、今後も貫き通していくつもりです。

 

お悩みを抱えるみなさんの「人生の突破口」となれるよう、日々精進しています。